味付けパンについて

 オギロパンでは、一般に言われる「コッペパン」が、味付けパンという呼称になっている。

 さて、「味付けパン」とは、いったいどうやってその名前がついたのだろう。

 とある文献を、以前入手していた。

 それは、締木信太郎氏著「パンの百科」(中公文庫)。昭和52年に最初に出版されたものが文庫化されたものである。
 この本の、152ページに、昭和18年、食パンは1種類に統制され、菓子パンは「味付けパン」となった、との記述がある。
 その後、戦況の悪化も伴い、砂糖の使用も無理になってきて、その味付けパンすらなくなってしまった。

 この話を読みながら、ふっと昔聞いた話を思い出していた。

「オギロパンはの、ヤミの小麦を使わんかったんじゃ。」

 終戦直後の話なのか、戦中の話なのかは、よくわからないが、ヤミの材料を使用しないことが、祖父の時代の信念だったのだろう。

 当時の状況は、私は知る余地もないが、「味付けパン」という呼称が、昭和18年ごろにできたらしいということは、「パンの百科」から、うかがい知れる。
 それまでは、「味付けパン」は、なんと呼ばれていたのだろう。やはり「コッペパン」なのだろうか。
 その「コッペパン」という呼称自体、どうやら「ずれ」のようで、「パンの百科」には、「クッペを誤ったコッペパン」という表現がでてくる。

 明治、大正、昭和初期の、いわゆる戦前の文化を書いている本は、日本における初期のパン食を理解するためには、貴重な文献だと思う。
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