中かそばとオムライス4

 皆実に「花兆」という、レストランと言うか、御食事処というか、飲食店がある。
 一昔前は「みのり」という名前だったと記憶しているのだが、知らない間に「花兆」に屋号が変わっていた。メニューには「みのり定食」というものもあるので、単純に屋号が変わっただけなのかもしれない。

 ここに、おもしろいセットメニューがある。
 それが「中かそばとオムライス(表記は、メニュー通り)」のセットなのだ。

 花兆さんの中華そばは、鶏ガラベースのなつかしい風味のスープに、ほろほろになった赤身のチャーシュー2枚とメンマがたくさん。麺は細くて縮れている。これはこれで、美味しい。

 オムライスは、今よくあるような、とろとろ卵がのっかっているタイプではなく、チキンライスをきっちり火の通った卵でくるんでいる。それに、デミグラスソースのような感じの茶色いソースがかかっている。これはこれで、美味しい。若干チキンライスが薄味なのは、好みが分かれるところかもしれない。ソースが足りないと思ったら、追加ができる様子。

 その中華そばとのセットになると、やきめしとオムライスのどちらかになる。やきめしは、セットとしては、とても普通なので、ここはオムライスを選択する。

 しばらく待つと、お盆に中華そばとオムライスがのっかってやってくる。ラーメン用のコショウもひと缶ついてくる。花兆さんのテーブルの上には、割り箸とつまようじぐらいしかなくて、調味料はひとつもない。だから、コショウも同時に配膳される。

 さて、この「中かそばとオムライス(表記は、メニュー通り)」なのだが、それぞれはそれぞれで美味しいのだが、セットとしては、なにがなんだか方向性がよくわからない。相互作用があるか、といえば、全くない。
 中華そばをすすったあと、オムライスを食す。オムライスを食したあと、中華そばをすする。これは、まったく別物の風味で、混じりあう事はない。中華そばは中華そば。オムライスはオムライス。主役が二人いる時代劇で、どちらも協調せず、話が進んでいくような感じである。

 いつも、「これって、変わったセットだなぁ・・・。」と思いながらも、ついつい注文してしまう自分がいる。たぶん、ここでしか味わえないセットだからなのだろう。そして、かなりボリュームがあり、食後はこれ以上にない満腹感を味わう事ができる。
 中華そばも、オムライスも、どっちも食べたい時は、間違いない選択ではあるのだが、中華そばとオムライスを同時に食べたい欲求自体が、間違えているような気がする。

 花兆さんの、もうひとつの特徴は、器がよいことかもしれない。妙に味わい深い器で、供される。
 このお店は、意外と深い。

 そういえば、花兆さんの仕出しって、すごく美味しいんだよなぁ・・・。
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