とあるラーメン屋さんにて

 ちょっと前に、とあるラーメン屋さんに行った(天下一品でも、天でもない)。

 はじめてその店に入った瞬間から、店内にいい香りがしていたので、「あたり?」と思ったのだが、少し見渡してみると、なんとなく店内が雑然としていて、ちょっと不安になった。
 大将にラーメンを一つ注文し、ぼけーっと周囲を眺めていると、店内の表示ではチャーシューに銘柄豚を使用しているようす。そして、カウンター越しにみえる鍋の中も、野菜がてんこ盛りになっており景色が良い。きっと明日のスープなのだろう。
 そんな感じで、不安は払拭されたかに思えた。

 しばらくして、ラーメンが供される。
 チャーシューがとても旨そうな雰囲気をかもし出していた。

 スープをすすると、豚骨由来の旨みが自然に口の中に広がり、あとから野菜の甘さが来る。好みの味がするので、好感触。
 麺をずるずるといってみる。細麺で、口に当たる感触もよくて、ゆで具合も好み。なかなか。
 チャーシューも旨い。豚の風味が強くて、これまた好み。

 ただし、その他の具が、よろしくない。
 スープと麺とチャーシューのバランスがとても良いのに、どうしてその具たちが入っているのか、と、思わせるぐらいに、アンバランスなレベルだった。

 とはいえ、その他の具たちは、私にとっては「もとから入っていなくても良い存在」のものなので、邪魔になるのは問題ではあるのだが、今後それらの具たちが、味わいに上乗せされる可能性は高いようにも思われる。

 ふと、何年か前のことを思い出していた。それは市役所そばの「もり翔」というラーメン屋さんが、開店当初に摩訶不思議なバランスのラーメンを供していたことだった。
 その当時、麺もスープもチャーシューも、それぞれが旨いのだが、あわさって一杯のラーメンになってしまうと、てんでばらばらになってしまい、ラーメンとしてまとまりつかなくなっていた。方向性がわからない、妙な印象のラーメンだった。
 それが徐々に整合されてゆき、最後に麺が変わったときには、すべてがぴしゃりとはまって、旨いラーメンになっていた。
 そんなラーメンを食べた日って、むっちゃ嬉しかったなぁ。すごいなって思ったなぁ。やるって思ったなぁ。

 お店って、そのときがすべてではなく、そこから上がったり下がったりする。それは、自然の流れで、それは、人生のながれとも重なるのかもしれない。

 ともかく、ローマは一日にして成らず、である。

 で、そのラーメン屋さんとはどこか・・・。それは、秘密。


 と、他人事なので好き放題書いてしまったが、わが身を振り返りつつ、「あ、そういえば・・・」と、新たにいくつかの課題が加わったことも、付け加えておく。
 うちも、もっと旨いパン屋になれるはず。
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