エリック・サティの先進性

op.4

 フランスの作曲家、エリック・サティ(1866-1925)。

 彼の作品は、「ジムノペディ」、「グノシエンヌ」、「おまえが欲しい」、「ピカデリー」等、題名は知らなくても、曲を聴くと「ああ、これね。知ってる!」と、思わぬ所で案外知られている。

 サティの作品にはユニークなものが多くある。

 演奏にまるまる一日もかかるもの(ヴィクサシオン)や、演奏すると普通の曲なのに小節数が1小節のもの(タンゴ)。奇妙なタイトルのついたもの(ひからびた胎児、官僚的なソネチネetc.)

 そして、特筆すべき作品は「家具の音楽」である。
 それは「誰かに聴かれるための音楽」ではなく、何も主張しない、何も押し付けない、空気と同じような感触の音楽を目指してつくられた。

 サティは、とある演奏会の時、その「空気と同じような音楽」を休憩中に演奏することを試みた。

 休憩が始まり、観客は思い思いに席から離れはじめた時、その音楽の演奏が始まった。
 もちろん、観客は演奏が始まったのだから、席について聴こうとした。

 だが、そのとき、サティは観客に大声でこう叫んだ。

 「さぁ、おしゃべりを続けて!歩き回っていいんだ!音楽を聴いてはいけない!」

 現在ではあたりまえとなった、BGMの概念を先取りしすぎたサティ。

 そして、彼の目指した「空気と同じような音楽」は、今では日本の街に溢れかえっている。何も主張しない、何も押し付けない、空気と同じような感触の音楽・・・。
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