季節限定ブルーベリーデニッシュ

39c1779a.JPG 秋になると、店頭に「ブルーベリーデニッシュ」が並びます。

 ブルーベリーデニッシュは、デニッシュペストリーの上にカスタードクリーム、ヨーグルトクリーム、そしてブルーベリーを甘くたいたものをのせてある、お菓子のようなパンです。

 デニッシュペストリーとは、「デンマークのペストリー」ということです。
 では、ペストリーはといえば、発酵生地を用いたパイ生地といったところでしょう。

 このパイ生地のようなデニッシュペストリーの出身を尋ねれば、彼女はこう答えるでしょう。

「わたしは、ウィーンの生まれです」

 パイ生地は、ウィーンで発達し、それが発酵生地(パン)と出会い、融合したものが、デンマークやフランスへと伝わっていたのです。
 だから、パリで食べているイメージの強いクロワッサンも、ウィーン出身であるし、「デニッシュ」と呼ばれているパンたちも、ウィーン出身なのです。

 ウィーンで、こういった発酵菓子が発達した理由は、ハプスブルグ家の隆盛があげられると思います。当時のウィーンはオーストリア帝国の首都であり、財が集まった都市です。有名な君主には「マリア・テレジア」があげられるでしょう。

 財力のある人が多かったので、豊かな食文化が生まれ、そのなかで、パイやクロワッサンやペストリーなどの菓子が発達していくことになったわけです。
 先ほど名前を挙げたマリア・テレジアの娘が、フランスのルイ16世に嫁いだ「マリー・アントワネット」です。このあたりは、「ベルサイユのバラ」を愛読された方には、ご存知のことと思います。
 マリー・アントワネットは、ウィーンから菓子職人も多くパリに連れて行ったため、パリでもクロワッサンや、ウィーン菓子が作られるようになったといいます。

 マリー・アントワネットの有名なセリフに、

「パンがなければ、ケーキを食べたらよいのに」

 というのがあります。これは、貧困に苦しんでいる民衆がパンすら食べられないということを聞いて発したセリフだと言われています(真実かどうかは、定かではありません)。
 さて、このセリフ中に出てくる「ケーキ」ですが、本当はケーキではなく、ブリオッシュだったといわれています。ブリオッシュとは、バターや牛乳や卵をふんだんに使った発酵菓子で、当時1個のブリオッシュが、庶民の1ヶ月の食費ぐらいの値段がした、と、聞いたことがあります。
 だから、マリー・アントワネットのセリフが、とても「貧富の差」を感じさせるセリフになりえるわけです。
 今だったら、パンもケーキもブリオッシュも、値段はそれほど変わりませんが、当時はそういうことだった、ということです。

 ペストリーから、かなり脱線してしまいました。
 では、デンマークのペストリーとは・・・。

 この続きは、また今度にいたしましょう。
 ちなみに、デンマークは酪農王国なので、乳製品が豊富です。だから、パンにバターをふんだんに使うなんて、おてのもの。そういった感じです。
 デンマークの首都であるコペンハーゲンに行って、現地のデニッシュペストリーを食べたことがありますが、あちらのものは、日本のデニッシュペストリーほど「お菓子より」のものではなくて、あくまでパンの延長線上にあるパンだったように思いました。
 風味が強くて、旨かったです。(笑)
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