イエス玉川独演会の感想

 イエス玉川氏の独演会に行ってきた。

 この催し物は、どうやら我が両親が深く関わっているらしい。
 母は、イエス玉川氏と同郷(大和町)で、同級生。
 父は、根っからの快楽主義者で、人を楽しませることが大好き。だから、こういった演芸も大好き。
 この両者が組み合わさって、三原で「イエス玉川独演会」が催された、ということになるのかもしれない。

 正直に言うと、私はどうして両親がそんなことに熱心なのかよくわからなかった。
 しかし、独演会を見た後、しみじみと納得することができた。

 イエス玉川氏は、芸術家である。
 日本の演芸の一つである「浪曲」を、現代に伝える芸術家である。
 浪曲とは、「浪花節」とも言い、辞書を引用すると、

語り物の一種。江戸末期、説経節・祭文などの影響を受けて大坂で成立。初めはちょんがれ節・うかれ節などともよばれた。三味線の伴奏で独演し、題材は軍談・講釈・物語など、義理人情をテーマとしたものが多い。浪曲。

 ということである。
 義理人情をテーマとしているので、グッと来るお話を、独特の節回しで語る。
 その声は、しゃがれたような声である。この発声方法は、モンゴルのホーミーとよく似ている。だから、遠くまで声が届く。
 
 今回の独演会では、浪曲がメインというよりも、漫談がメインだった。
 イエス玉川氏は、地元出身(大和町)であるので、地元の地名がばんばん出てくる。集まった観客も、地元の人間なので、身近な話題で、よく受けていた。

 玉川の十八番は「天保水滸伝」という任侠ものであるが、今回の演目である浪曲は、ちがうもの。
 子供の出来ない夫婦が、親を亡くした子を引き取り、その子が町中の子とけんかをする。父は、迷惑をかけた子を怒ろうとするが、その子がけんかをした理由が「父親の職業」をなじられたから、というもので、父の名誉を守るために子が戦ったという話。

 生まれてはじめて浪曲を聞いたけど、いいなぁ。
 まず、イエス玉川氏の声が良い。独特の間合いが、心地よい。
 そして、浪曲の内容が、とても人情味あふれていて、笑いあり涙あり。

 漫談もおもしろかったが、浪曲には感動を覚えた。話の内容も感動したし、浪曲自体の芸に感動した。
 浪曲って、こんなに心を打つものなんだろうか。

 とにかく、大変貴重な体験をしたのは、まちがいない。

 来年の「第3回イエス玉川独演会」をするのであれば、ぜひ、見に行きたいと思う。それほど、おもしろかったのだ。
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