コッペパン・メロンパン呼称問題

2009年09月18日


 オギロパンのメロンパンの形は「マクワウリ型」という。
 または「ラグビーボール型」ともいう。

 マクワウリ。

 確かに、写真では見たことがあった。
 筋がはいっていて、うちのメロンパンに似ている・・・かもしれない。

 そんなこんなで、今日、当店スタッフ「峠のお雪」が「マクワウリ」を持ってきた。実家でそだてているらしい。

 そんな、マクワウリ。
 私は食べたことない。どんな味がするんだろう・・・?
 とりあえず、マクワウリとメロンパンを並べて写真を撮ってみた。

CIMG3658 オギロパンのメロンパンは「マクワウリ型」をしている。 で、肝心の「マクワウリ」の味は・・・・?

 おお!!
 これは「メロン」ではないか!!

 しゃっくりとした食べ口で、口の中に若いメロンの風味が漂う。甘すぎず、香が高い。

 ・・・昔の人は、このマクワウリとメロンの相似点を重ね合わせて、「メロンパン」をマクワウリの形にしたのだろうか?
 それとも、マクワウリの形にして、メロンを夢見て「メロンパン」と名付けたのだろうか。

 いろいろなことを考えさせられた。
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2006年10月08日

(これは、以前書いたテキストの再掲です。初出は2004/08/10。若干改定してます。)

 1998年のクリスマスの日に、「コッペパンとメロンパン」という文章を書いている。時は流れ、2004年になり、あの日からずっと「コッペパンとメロンパン」の関係を追い求めてきた(って、大袈裟な)。

 この6年間の間に、インターネットが全国的に普及し、一般化し、様々なローカルな情報を集める有効な手段になってきている。ネットで情報を集め、メロンパンの由来や呼称や形状についての情報も、数多く見受けられる。

 しかし、である。
 この「コッペパン=メロンパン」という呼称については、あくまでローカルなネタである事から、まとめて考察される機会が少ないのは、残念と言わざるを得ない。
 そういう訳なので、久しぶりに「コッペパンとメロンパン」の続きを書こう、と決意したのだった(って、これまた、大袈裟)。

 さて、「コッペパン=メロンパン」という呼称は、どう考えても地域的なものであるが、どの辺りまで広がりを見せているのだろうかを調べてみた結果、「メロンパン=コッペパン」呼称文化圏(勝手に命名)は、東は広島県の三原市から呉市までのJR呉線沿いの地域と、海を挟んで愛媛県の松山市周辺、そして、西は山口県宇部市までの地域に、分散して存在しているようだ。

 基本的に、昭和20年代あたりまでに開業したパン屋さんは、この地域の特殊な「メロンパン=コッペパン」呼称を用いている場合が多く、それ以降に開業したパン屋は、「メロンパン=コッペパン」呼称文化圏内でも、この地域の伝統的な(?)呼称を用いていない場合が多い。「メロンパン=コッペパン」呼称は老舗故の呼称であるとも言える。
 事実、「メロンパン=コッペパン」呼称文化圏の中央部にあたる、広島県呉市には「メロンパン」という老舗のパン屋があり、そのお店でも、メロンパンはマクワウリ型でカスタード入り。コッペパンは、通常でいうメロンパンである。これは、オギロパンと同じ呼称である。

 メロンパンの生まれた時代は、昭和の初期(戦前)だと思われる。そして、当時のパン店とは、全国規模の企業がする商売ではなく、個人店がする仕事だった。
 物流も情報も、現在のように、豊かに溢れかえっている時代ではなかったので、人の流れが、物流と情報の流れである、というふうに考えることができるだろう(特に、コッペパンの事など、それほど重要な情報というものでもないし、そう考えるほうが、普通だと思われる)。
 広島県三原市から愛媛県松山市までは、電車(当時は汽車)と船でつながっているので、人の往来がある。広島県三原市から山口県宇部市までは、JR山陽本線がある。
 物流も情報も、鉄道と船を乗り継いで行き来していたことは間違いないので、瀬戸内地域に「メロンパン=コッペパン」呼称文化圏が存在するのは、妥当とも言える。
 
 問題は、どうして、「メロンパン=コッペパン」呼称文化圏が生まれたかという点なのだが、これもどうも曖昧である。当時の文献も少なく(というより、ほとんどなく)、口伝する人も、「そがな事、覚えとらん(標準語訳:そういった事は、存じておりません)」と当てにならない。


 しかし、断片ではあるが、かきあつめた情報に共通していることは、
・最初に、コッペパンが存在した。
・「マクワウリ型の白あん入りパン」がこの地域に流入してきて(もしくは開発されて)、「メロンパン」と名付けられた。
・「マクワウリ型の白あん入りパン」は、この「メロンパン=コッペパン」呼称文化圏のどこかで、中身の白あんが、カスタードに変更された。
・カスタードクリームの入っていない、クッキー生地のついたパンは、「コッペパン」という名称をそのまま受け継ぎ、「コッペパン」と呼称した。
・元々の「コッペパン」は別の名前に置き換えられた(うちの店で言う「味付けパン」。一部の広島県人の言うところの「給食のパン」

 ということなのだが・・・。

 どこから、どうやって、どのようにして、という点が、何一つ明らかでない。繋がらないのである。

 最初に「コッペパンはメロンパン」を書いて、ずいぶんと経つが、まだまだ、謎は深まるばかり。やはり、これからも、私は頭を抱えて唸るしかないようだった・・・。
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2006年10月07日

(これは、以前書いたテキストの再掲です。初出は1998/12/25。若干改定してます。)

 オギロパンには1つの謎がある。それは、コッペパンである。

 これだけ書くと、とてもおかしいのだが、いまから詳しく説明すると、なんとなく納得していただけるであろう。

 三原以外に住む人は、「コッペパン」はどんなものを想像するだろうか?
 きっと、給食に出てくるあの何もつけていないシンプルなパンを思い描くだろう。

 だが、しかし、うちの実家のコッペパンはメロンパンなのだ。
 そして、メロンパンはアーモンドのような形(つまり、丸くない)をしていて、クッキー生地の上掛け、そして中にカスタードが入っているのだ。そして、サンライズは、一般的なメロンパンをたて二つに切り込みをいれ、その切れ込みにクリームとチェリーをいれるというもの。

 さて、これを読んで混乱しない人がいるだろうか?
 私自身が書きながら混乱してくる。

 急になぜ書くかというと、先日テレビで「メロンパン」の呼び方が大阪と神戸で違う、と報じていたからだ。一般的には丸くてクッキー生地が上についたパンを「メロンパン」というが、神戸では「サンライズ」と呼ぶ、といった内容だった。神戸の「メロンパン」とは、うちの実家のメロンパンと同じで、アーモンドのような形をしていて、中に白あんが入っているらしい。

 で、三原の人間はメロンパンのことを「コッペパン」という。東京に行って、あっちの人と「これはメロンじゃない!コッペ!!」と喧嘩した人もいるらしい。

 さて、メロンパンの由来となると、なぜか謎らしい。

 ただし、コッペパンには由来がある。
 パンに切れ込みをいれることをフランス語で「クープをいれる」というのだが、クープ入りのパンという意味で、「クープパン」。それがなまって、「コッペパン」になったと聞いたことがある。
 もう一つの由来としては、やはり切れ目が入ったパンの事をドイツ語では「クッペ」という。それがなまって「コッペ」となったという説。

 しかし、現在の一般的なコッペパンに切れ込みが入っているかというと、これが入っていない。不思議だ。

 では、メロンパンはどうか?
 メロンパンにはきちんと切れ込みの名残らしきものがあるのだ。神戸のメロンパンにも切れ込みの名残らしきものがある。

 ここで、私に、一つの妄想が生まれてしまう。まず、日本に「クープパン」が入ってきた。それを見て、当時のオギロパンのパン職人が同じように作ってみたが、いまいち日本人受けする味ではないと感じた。そこで、クッキー生地を上につけて、形だけは何とか「クープパン」に似せようと筋をつけた。これが「コッペパン」になった。では、メロンパンは?サンライズは?と聞かれると窮してしまうのだが。やはり、妄想に過ぎない。

 つまり、オギロパンではメロンパンはコッペパンである。
 そして、コッペパンは味付けパン。
 サンライズは変形サンライズ。(現在は製造中止)
 かなり変則的なのだ。

 歴史だけは古いうちの実家だが、その記録は多く残っているわけではなく、口伝の部分が多い。いかにして、このような変則的な名前になったかは、解き明かされることのない謎になるかもしれない。

 そして、オギロパンではこの先も「コッペパン」といえば、メロンパンであることは間違いない。三原の人間がコッペパンといえばメロンパンの形を想像するという事実は、このまま続いていくのだろうか・・・。

 そのうち、この謎は解明していこうと思う。メロンパンの由来とともに。


「コッペパンはメロンパン 第2章」へ続く
Comments(10) | TrackBack(0) │   (22:19)

2006年03月29日

 昨年末、私個人の管理するサイト(って、ここもそうですが)を閉鎖した為、「コッペパンはメロンパン」のテキストがネット上において消失しています。

 もちろん、私自身は所持しているのですが、多少の変更を加えないと(表組とか、画像とか・・・)、ここには掲載できないので、そのまま放置しています。

 そのうち、復活させる心づもりではいるのですが、いかんせん、やる気が・・・。気分が乗らないとやらない、ケツに火がつかないとやらない性格なもので・・・。

 私の言うところの「コッペパン・メロンパン呼称問題」については、なにひとつ進展のないままです。なにしろ、足で情報をかせぐのは、大変です。
 今やらなければ、情報はどんどん少なくなるような気もしますが、もうすでに情報は少なくなってしまっているので、困ってしまいます。

 先日、ひとつの仮説をたててみました。
 マクワウリ形(ラグビーボール形)のメロンパンの形状から、神戸のメロンパンが、いかにしてこちらまで伝わったかを、思索していたおりに、ふと思い付いた事です。あくまで想像です。


1)「コッペパン(給食のパン)」は、戦前からある。
2)どうやら、戦中はコッペパン(給食のパン)は、「味付けパン」と呼ばれていたらしい。
3)戦中は、配給制にあり、砂糖などの材料は手に入らず、菓子パンはつくれなかった。
4)終戦後、しばらくして材料がそろうようになり、神戸において「メロンパン(マクワウリ形)」が作られるようになった。
5)うちの祖父は、神戸にイーストを買いに行っていたらしい・・・。
6)そこで、「メロンパン(マクワウリ形)」を見て、食べたのではないか?
7)もちろん、同時にほかのパン屋も神戸で「メロンパン(マクワウリ形)」を食べたであろう。
8)神戸を中心に、同心円状に、「メロンパン(マクワウリ形)」が伝播した。
9)各地で、「メロンパン(マクワウリ形)」が、つくられるようになる。
10)オギロパンでも、メロンパンをメロンパンとして作る。
11)せっかくクッキーの上生地をつくったのに、メロンパンだけに使うのは、もったいない。
12)味付けパンに、クッキーをのせてみようと思う。
13)意外と旨いので、売る事にする。でも、名前に困る。
14)しかも、「メロンパン(マクワウリ形)」は、もう呼称として存在している。
15)味付けパンにクッキーの上生地をのせたパン・・・。
16)そういえば、味付けパンは、戦前、コッペパンと呼ばれていた。
17)では、「クッキーコッペパン(仮称)」などと、呼称してみようか。
18)いや、語呂がわるい。というより、呼びにくい。
19)当然の事ながら、短縮されて、「コッペパン(現、オギロのコッペ)」となる。
20)従来のコッペパン(給食のパン)は、戦中に「味付けパン」と呼称するようになったのだから、名前もかぶらず、問題ない。
21)現に、いまでも、オギロパンではコッペパン(給食のパン)を「味付けパン」と呼称している。
22)そして、コッペパン・メロンパン・味付けパンの呼称が成立する。
23)現在に至る。

 とか、勝手に想像したりして。
 
 残念ながら、証明できる人すら、いない・・・。
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2005年11月03日

 オギロパンでは、一般に言われる「コッペパン」が、味付けパンという呼称になっている。

 さて、「味付けパン」とは、いったいどうやってその名前がついたのだろう。

 とある文献を、以前入手していた。

 それは、締木信太郎氏著「パンの百科」(中公文庫)。昭和52年に最初に出版されたものが文庫化されたものである。
 この本の、152ページに、昭和18年、食パンは1種類に統制され、菓子パンは「味付けパン」となった、との記述がある。
 その後、戦況の悪化も伴い、砂糖の使用も無理になってきて、その味付けパンすらなくなってしまった。

 この話を読みながら、ふっと昔聞いた話を思い出していた。

「オギロパンはの、ヤミの小麦を使わんかったんじゃ。」

 終戦直後の話なのか、戦中の話なのかは、よくわからないが、ヤミの材料を使用しないことが、祖父の時代の信念だったのだろう。

 当時の状況は、私は知る余地もないが、「味付けパン」という呼称が、昭和18年ごろにできたらしいということは、「パンの百科」から、うかがい知れる。
 それまでは、「味付けパン」は、なんと呼ばれていたのだろう。やはり「コッペパン」なのだろうか。
 その「コッペパン」という呼称自体、どうやら「ずれ」のようで、「パンの百科」には、「クッペを誤ったコッペパン」という表現がでてくる。

 明治、大正、昭和初期の、いわゆる戦前の文化を書いている本は、日本における初期のパン食を理解するためには、貴重な文献だと思う。
Comments(0) | TrackBack(0) │   (16:03)

2005年10月29日

 オギロパンには、「コッペパン呼称問題」というものがあります。

 コッペパンはメロンパンで、メロンパンはメロンパンで、味付けパンはコッペパン。

 これについては、以前やっていたサイトにて、「コッペパンはメロンパン」という題でで取り上げたことがあるので、繰り返し触れるのは、ちょっとヤボかな?

 そういうわけで、オギロパンで売られている「正式名称」としての、コッペパンとメロンパンを御紹介いたします。

 コッペパンは、菓子パンの生地にクッキー生地をのせて焼き上げたものです。
コッペパン









 メロンパンは、菓子パンの生地に、カスタードクリームを包み、クッキー生地をのせて、メロンパン型をかぶせて焼き上げたものです。
メロンパン









 三原にずっと住んでいる人には、「あたりまえでしょう」と言われてしまうけれど、それが「あたりまえ」でないところが、この「コッペパン呼称問題」の悩ましい所です。

 さて、私も三原に帰ってきてから、「コッペパン呼称問題」について、悩んだり考えたりしてきましたが、いままでもいまからも、きっと解決しないと思います。
 だいたい、普通に言われている「メロンパン」すら、由来がはっきりしていないし、「サンライズ」という呼称もあるのです。「メロンパン呼称問題」も、別口にあるのです。
 メロンパン呼称問題自体が、オギロパンにとっては、問題を複雑にさせています。オギロパンは、それに加えて「コッペパン呼称問題」も抱えていますから、たまったものではありません。

 もうこうなったら、オギロパンはこれからもずっと、「コッペパン、メロンパン」は、これでいきます。ここは、頑固に貫き通すところではないのか、と、勝手に思っています。

 お客様には、大変ご迷惑をおかけします。ユニバーサルデザインの世の中。標準化の世の中。そんな世の中で、自分勝手な呼称をしていると思われるでしょうから。
 
 実際問題、電話などで「メロンパンを取り置きしておいてください」とオーダーを受けて、お渡しするときに「これはメロンパンじゃない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。頭を抱えるばかりです。うちのスタッフも、ずいぶん説明が上手くなったし、事情も良くわかってきたとはいえ、この始末です。

 この間のお盆には、「コッペパン」を「コッペパン呼称の証拠写真」として撮影して帰られた方もいらっしゃいました。

 大阪の「たぬきうどん」、京都の「たぬきうどん」、東京の「たぬきうどん」が、それぞれ形状が異なるように、これも、きっと地域差なんです。
Comments(4) | TrackBack(0) │   (21:21)

自己紹介
四代目(よんだいめ)
老舗パン屋の四代目として、三原に生まれ育ち、跡を継ぐ。 2010年に代表取締役社長就任。
社長になっても、なんだかんだいいながらイオン三原店の店長も兼務。
三原がふるさと。大阪がボケと突っ込みのふるさと。フランスが心のふるさと。
日本と広島と故郷の三原と我が妻と娘をこよなく愛する40歳。

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オギロパン イオン三原店
郵便番号 723-0014
広島県三原市城町2-13-1
TEL&FAX 0848-62-8800
営業時間 午前9時〜午後8時
定休日 年中無休(お店は)
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